VRST2025でデモ発表を行いました(M1屋・B4沖井)
M1の屋です。 2025年11月12日~11月14日にかけてカナダのモントリオールで開催された国際学会「VRST 2025 (31st ACM Symposium on Virtual Reality Software and Technology)」に、屋とB4の沖井の2名で参加し、それぞれの研究成果を発表してきました。
私の発表では、スマートグラスのツル(テンプル)部分に8つのホイールを搭載した新しい入力インターフェースを提案しました。 実際にプロトタイプを装着してデモを行い、指先での回転操作による文字入力などを紹介しました。 海外の研究者からも「ユニークな設計だ」と言っていただけたり、「もっとこうしたらいいのでは?」といった意見を教えていただくなどかなり刺激を受けました。
沖井君の発表では、手首の内側にトラックボールを装着し、それを自分の体にこすりつけるようにして操作する「Body-Rubbing」という手法を提案しました。 混雑した電車内などの狭い場所でも、腕を大きく動かさずに精密な操作ができるという点に、多くの方が興味を持ってくれました。 彼にとっては初めての国際学会でしたが、英語での質疑応答にも堂々と対応しており、頼もしかったです。
おまけ
開催地のモントリオールは、北米のパリと呼ばれるだけあって街並みが非常に美しく、歴史的な建物と近代的なビルが融合した景色が印象的でした。 食事については、カナダ名物の「プティン(フライドポテトにチーズとグレイビーソースをかけたもの)」を堪能しました。 かなりボリュームがありましたが、慣れない英語での発表で疲れた体に、その濃厚な味わいが染み渡りました。
研究概要
Multi-Wheel Input for Smart Glasses and XR Devices(屋)
スマートグラスは日常的なモバイルコンピューティングに適していますが、従来の音声入力やハンドトラッキングにはプライバシーや精度の面で課題がありました。 本研究では、グラスのテンプル両側に計8つの小型ホイールを配置し、親指以外の8本の指で独立して操作する手法を提案しました。 各ホイールは上下の回転と押し込み操作に対応しており 、実験では未経験者でも平均6.58 WPMの速度で文字入力が可能であることを確認しました。 また、マルチウィンドウの操作やリズムゲーム、ピクセルアート作成など、複雑な操作を可能にするアプリケーションの実装を通じて、その有用性を示しました。
An Inner-Wrist Trackball Interaction Technique for Pointing and Gesture Input through Body-Rubbing(沖井)
AR/VR環境における入力手法として、ハンドトラッキングは腕の疲労を招きやすく、また狭い空間での利用が難しいという課題があります。 本研究では、手首の内側に25mmのトラックボールを搭載したデバイスを提案し、手首を太ももやお腹などの身体にこすりつけることで操作する「Body-Rubbing」インターフェースを開発しました。 この手法は、一度の動作で大きなカーソル移動が可能であり、また身体を支持基盤とするため高い精度を保つことができます。 実験の結果、立位・座位に関わらず安定したポインティング性能を発揮し、従来のハンドレイ(光線)方式よりも小さなターゲットを素早く選択できることが確認されました。