HCI201で登壇発表を行いました(M2 上田・M2 鈴木・M2 花田・M2 辺見・M1 兼井)
2023年1月16日、1月17日に石垣島で開催された第201回ヒューマンコンピュータインタラクション研究発表会でM2の上田、鈴木、花田、辺見(オンライン)、M1の兼井が登壇発表を行いました。
沖縄での思い出
沖縄では、八重山そばや海鮮などのおいしい料理をたくさん食べることができ、とても満足しています。
海は綺麗でしたが、14日と15日は空が曇っていて少し残念でした。
初めての登壇発表でとても緊張していましたが、無事に発表できてよかったです。
研究概要
パンデミック禍における大学体育のためのエクサゲーム(兼井)
2020年に新型コロナウイルス感染症が流行し、パンデミックが発生しました。パンデミック禍では、学校の授業や通学などに伴うあらゆる日常生活が極端に制限されました。教育現場では授業をオンライン化せざるを得なくなり、中でも体育は深刻な状況に直面している科目の1つです。体育科目の目的の1つは、健康の保持と人間関係の形成であることから、パンデミック禍では特に体育の授業で定期的な運動と健康維持を促すことが重要となりますが、その実現は困難な状況と言えます。そこで、大学のオンライン体育科目に適応し、学生が授業外でも運動するきっかけとなるエクサゲームを提案しま。
このエクサゲームは、テトリスをモチーフとしており、ゲーム操作に身体動作を必要とします。さらに、遠隔地にいる人同士がコミュニケーションをとりながら楽しく協力してプレイすることが可能です。実験の結果から、提案したエクサゲームは運動強度が中程度であり、運動意欲を高めることができることが明らかとなりました。 投稿論文:パンデミック禍における大学体育のためのエクサゲーム
ARグラスを用いた実世界への視線誘導と注意力への影響(上田)
スマートグラスが登場したことやスマートフォンで拡張現実(AR)を体験できるようになったことで、AR が身近な存在になりました。実世界には、危険を知らせる看板や、目を引く広告など人々の視線を誘導するオブジェクトが多く存在しています。仮想空間上において、すでに様々な視線誘導手法が提案されています。しかし、AR グラスを用いて実世界に対する視線誘導を行った事例は少なく、また、明示的な視線誘導は強制的にユーザの注意を奪い、日常生活に支障をきたすと考えられます。しかし、視線誘導によるユーザの注意力への影響の調査もほとんど行われていません。本研究では、光学シースルー型 HMD を用いて行う視線誘導において、「実世界でのタスクへの阻害の大きさ」や「誘導の無視しやすさ」という新たな指標が存在するかどうかの調査を行いまました。
実験の結果、主観的評価では誘導手法によって、タスクの阻害しやすさに違いが見られたものの、タスクパフォーマンスには差が現れず、視線誘導の新たな指標の存在を示すことはできませんでした。 投稿論文:ARグラスを用いた実世界への視線誘導と注意力への影響
静電容量画像を用いた筆型パッシブスタイラスの角度推定(鈴木)
「静電容量画像を用いた筆型パッシブスタイラスの角度推定」というタイトルで発表を行いました。 スマートフォンやタブレットの性能向上に伴い、高機能なアプリケーションをパソコンだけでなく、それら小型デバイスから利用することも増えました。しかし、タッチパネルによる入力は、マウスやキーボードなどと比較して、バリエーションが乏しく複雑な入力ができません。そこで、本研究では、静電容量方式タッチパネルの静電容量画像から、筆型のパッシブスタイラスの角度を推定する手法を提案します。 スタイラスペンの角度の推定誤差について評価実験を行い、平均絶対誤差はピッチ角で6.63度、ロール角で5.97度でした。また、Androidの実機を使用したユーザ実験では、指とスタイラスペンの2種類の入力を約95%の精度で識別し、スタイラスペンでの4方向のジェスチャ入力を0.15秒ほど待つことで約83.6%(0.3秒ほどで約91.9%)の精度で識別することができました。さらに、本手法の実用性を示すために、いくつかのアプリケーションの実装を行いました。 投稿論文:静電容量画像を用いた筆型パッシブスタイラスの角度推定
ARグラスとスマートフォンを併用した映像拡張手法における基礎検討(花田)
最近流行りのARグラスと、スマホを併用した映像拡張について発表しました。ARグラスには、ディスプレイが大きいものの背景が透けてしまうため、映像が見づらくなることがあります。スマホは、高画質であるものの、ディスプレイのサイズが小さいです。二つのデバイスを併用することで、ARグラスの大きな映像と、スマホの高画質を同時に実現できます。
10種類の映像を、スマホ単体、ARグラス単体、二つのデバイスを併用した視聴方法で被験者に視聴してもらい、視聴方法の使用感の違いや、課題などを調査しました。
投稿論文: ARグラスとスマートフォンを併用した映像拡張手法における基礎検討
3Dプリンタによるホットスタンプ多層回路における回路の最適化のための検討(辺見)
「3Dプリンタによるホットスタンプ多層回路における回路の最適化のための検討」というタイトルでオンラインで発表しました。 3Dプリンタと転写箔を用いた電子回路の作成手法が提案されています。導電性と絶縁性の2種類の転写箔を押し当てることで、片面に多層の回路パターンを転写することができます。この手法の課題として、転写箔の消費が多いことが挙げられます。転写箔は再利用が難しく、多くの未使用領域を残したまま廃棄せざるを得ないことがあります。この課題を解決するために、私たちは転写箔の面積を最小化する回路最適化手法について検討しています。 この検討のために、基板設計を支援する既存ソフトウェアが出力する複数の回路案の中から、転写面積が最小の回路パターンを自動的に選択する実装を行いました。選択した回路パターンを印刷するためのG-codeを生成することもでき、実際に電子回路を印刷できることを確認しました。さらに、転写箔の使用量を最小化するための具体的な方法についても議論しました。 発表してみてプレゼンテーションの時に2点注意する必要があることが判明しました。 1つ目は、zoomの画面共有はフレームレートが著しく低いため、プレゼンテーションに含めた動画が伝わりづらいことです。2つ目は、会場でプロジェクターで投影されるため細い線が見えないことです。 投稿論文:3Dプリンタによるホットスタンプ多層回路における回路の最適化のための検討